いつもうみてんをご利用いただきありがとうございます。
今、遊漁船業者が船舶安全法の改定で、営業の危機に直面しております。
もし、省令案が施行されれば、全国の遊漁船業者の大半が廃業に追い込まれます。
今回は実情を報告させていただき、皆さまに考えていただきたいと思い、ホームページで公開させていただきました。
安全で楽しく遊漁船を利用できるように、皆さまも実情をご理解いただければ幸いです。
遊漁船に「救命いかだの設置」などを義務化する「船舶安全法施行規則等の一部を改正する省令案」
詳しく知りたい方は「船舶安全法施行規則等の一部を改正する省令案について」を確認してみてください。
もし改定が施行されればいかだを船に設置しないといけません。
このいかだ、買うと150万します。しかも船に備え付けです。たためると言っても、めちゃくちゃボリュームがあります。40ftの船でもかなりのスペースが取られることとなり、当然お客様を減らさなければなりません。
はっきり言います・・・
こんなでかいもの、船に置けんわ!50ft越えの旅客船ならまだしも、漁船にこのサイズを置けば、場所も取られるし、重くて復元力も低下して余計危険だわ!
でも改定されれば、設置義務が発生し、設置していなければ莫大な罰金を取られて前科者になります。
また、漁労無線の設置(費用はだいたい30万くらい)や非常用位置等発信装置(こちらも30万くらい)が必要になります。
当然、設置費用やランニングコストもかかります。
もし「船舶安全法施行規則等の一部を改正する省令案」が施行されればどうなるのか
はい。ほとんどの遊漁船は潰れます。
コロナ渦でかなり疲弊したところに、燃料高騰でダブルパンチの状態です。
もし施行されれば、乗船料金の値段があがります。
なんでかって、この200万以上かかる費用に補助金や助成金は無いため、手出しになります。
なので、200万+ランニングコストを集める必要があります。
たぶんですが、3割増しから5割増しになるでしょう。
乗船料金が1万5千円~2万円になります。
値段が上がれば1か月に1回行っていた船釣りが3か月に1回となり、乗船回数が減ります。
乗船回数が減れば、お客様の取り合いが発生(すでに今も発生しているが・・・)し、金額勝負のお店が増えてくる。
費用が安い船にお客さんは集中はするが、維持ができずに廃業。お客様が減った遊漁も廃業。
そもそも、いかだを設置するだけで場所も取ってしまって載せるお客さんを減らさなければならない(釣り座の確保のため)
いかだ分の重さで、当然燃料も食います。。。
そもそも、遊漁船業の維持費ってどれくらいなのか
良い機会なので、皆さまが知りたい遊漁船業の維持費をざっくりと紹介します。
1人から1万も取るんで儲かってるんでしょ?なんて言われることがありますが、はっきり言って、
この業界、、、まったく儲かりません。
なんでかって、、、維持費がめちゃくちゃかかります。
ざっくりいうと
- 船の係留場所:年間5万~6万。マリーナなら10万~20万以上!
- 台風対策(ロープやマリーナにあげるなら船台の保管料など):年間10万~20万
- 定期メンテナンス(オイル交換、インペラ、フィルター、ベルトなど):年間20万~30万
- 保険料など:年間6万~10万
- 船のメンテナンス(突発的な故障や故障前の部品交換など):年間50万~100万
- 燃料費:年間150日出船すると仮定した場合、1回70L使うとして10500L×100円(免税使ってもこの金額です)=105万
ざっくりとですが、150万から200万は年間維持費でかかります。
1回の乗船人数が5人(1人1万として)とした場合でも、150日×5人=750万です。
750万から200万がひかれ、ついでに納税もしないといけません。
私んとこで酷い時は、経常利益10万ってこともありました。(大赤字です)
ちなみに、年間750万も稼ぐ遊漁船は稀です。ほとんどが400万以下だと思ってください。
これで船が壊れでもすれば、修理で、、、
すぐに50万~100万飛びます。
ほんと
この業界、、、儲かりません。
じゃあ、なんでやっているの?あんたバカ?って言われそうですが、なぜかって、私は、、、
天草の海が好き!人が好き!案内するのが好き!先輩たちがいい人ばかりで安心できる。。。
きれいごとに聞こえるかもしれませんが、好きじゃないとこんな商売やってられませんよ。
釣りが好きなだけなら、小さい船外機で好きなところから船下ろして釣りします。そっちの方が楽で費用もかかりません。
全国の遊漁船業者や利用者が声を上げています!
こんな省令案が通ってしまえば、遊漁船業は衰退します。
なんせ、維持できる業者がほとんどいないからです。維持できた船は、お客さんが独占となるため、皮肉ですが、乗船金額が上がると思います。
施行されれば、どっちにしても乗船金額は上がるでしょう。一度上げた金額はなかなか下がりません。(上げることはあっても下げることは無い)
遊漁船業者も利用者もまったく良いことがありません。
この省令案が出た理由は「知床遊覧船沈没事故」が発端です。
「旅客船は安全」という性善説が崩れた事象です。
でも皆さまに聞きたい!お金を掛ければ安全は担保できますか?安全は事前準備じゃないんですか?
はっきり言います!
遊漁船業者は荒波に出港はしません!
突然海が荒れる時はあります。でも昨今の海上予報は精度が高く、事前に予想はできます。
遊漁船業者は予報と毎日にらめっこしてますよ。
でも、言い切れるのは、
釣りができないような波で出す遊漁船はいません!
船は荒波にも大抵耐えれます。沈没なんてほとんどありません。
しかも、釣りができない状況の波って、船の沈没する波より全然低いです。
なので、「釣りができないくらいの波=出港しない」です。「海が荒れる=出港しない」ではないんです。
今、全国の遊漁船業者が声を上げています!
この省令案が通れば廃業する業者が多いからです。
皆さまが今後も楽しく遊漁ができるようにご協力のお願いです。
この省令案には「意見募集」というのを行っています。
意見を募って、省令案をこのまま施行するかどうかを決めます。
今、全国の遊漁船業者がこのパブリックコメント(意見コメント)を出しています。
パブリックコメントは簡単に提出できます。
以下に出し方についてのホームページがありましたので、掲載しておきます。
「まさかの補助金なし全額自己負担!? 東北の遊漁船業者、釣り人の皆様、パブリックコメントを送りましょう!」
長々とここまで読んでいただいてありがとうございます。皆さまの声が届けば、この省令案も改善される可能性があります。
今後も営業できるように、皆さまからのご支援をよろしくお願いいたします。